京アニBONを読む。

らき☆すたで有名な京都アニメーション京アニBONを読みました。

京アニBONへのリンク
企画としてはとても面白いと思いました。アニメが出来上がる前の企画の段階から、アニメを楽しめるというのは新しい試みです。
でも、読んだ感想を言うと、魅力を感じる物はほとんどなかったです。残念。この内容ならば京アニはオリジナルには手を出さないで欲しいです。高い作画力で有名な会社なので、版権物をやりつづけるのが吉ではないでしょうか。
問題点を具体的に指摘しますと、
★サムライとプリンセス
サムライネタはすでにネタとして成立していません。サムライネタなんて誰でも考えられます。作品の肝の部分がこれでは期待しようがありません。。しかし、面白くなる可能性はゼロではないと思います。物語はぶっちゃけ生と死、この2つの描写にリアリティがある事。この2つを結ぶ変化の描写がリアリティを持ち、ロマンチックであり、そしてダイナミックである事。それが物語的な正しさを持っていれば面白さが生まれます。それがどんなネタでも。
この内容の面白さのポイントになる部分なのですが、変化の部分に注目すると、

生へと向かう変化として、アンとの出会い。
死へと向かう変化として、異国の敵の出現。

って感じです。
この部分に関して何ら情報がないので、正直、判断ができません。考えているのなら、出し惜しみしないで出して欲しかったです。
アンとの出会いで武士はどうなるのですか?たとえば、武士に強い影響を与える強力なインパクトのある性格を彼女が持っているとか、あるいは結婚したら財宝や社会的な地位を手に入れられるとか、具体性が欲しいです。かわい娘ちゃんなだけの女なんて魅力がないです。そんな女、口説いてもねえ・・・。
異国の敵って何?どのような形で、どうやって武士を死へと追い詰めるのですか?物語的には武士を肉体的だけではなく精神的にも追い詰める必要があるけど、具体的にはどうやって行ってくる敵なのでしょうか。肉体、精神的に追い詰められ、それを打破する主人公、ここは重要だと思います。
ようするに面白さの要因となる物がまったく提示されていないので、判断のしようがないって感じでした。なので、ワクワク感もゼロ。
★恋は猪突モーシン!
ターゲットは誰?男性?女性?
男性なら、女性を主人公にしても感情移入しにくいですね。あと感情移入の対象となる主人公は萌えの対象になりにくいです。
女性なら、恋の目的である男の描写に気を使って欲しいです。この人が魅力的な男であるという描写がないと同じく感情移入できません。
あと、ギャグセンスが皆無なのが問題だと思います。ボケとツッコミだけで話を進めるのは無理です。所詮はギャグの目だつところしか見ていないそんな感じの漫画でした。
MUNTO
続編ものなら、前の作品が売れてればいいんじゃね?と思いました。ここで出さなくてもいいのでは?
ハリポタが終わり、ファンタジーブームも去ってますんでどうでしょう。
★ブライアン サーシャ
これも、面白さの要因、ウリの部分がわかりません。メモル?わかったのはファンタジーなだけ。ファンタジーブームは・・・。
★パーツマン
ビジュアル的にはかなり面白そうです。アニメになるなら期待大です。ただ、おき楽アクションと言ってしまってるので駄作の予感がします。ヒット作ほど、まじめな作品が多いですから。アニメを真剣に見てるのにふざけるとは何事だって感じですね。オタクはいい作品を評価してくれますが、オタク以外はいい作品しか見ないというのが前提になります。だから、ふざけた内容だと、ふざけるなと思ってしまうんだと思います。お気楽が前提になると死への変化が弱くなるからかもしれません。
★学校風紀番 夜守り
これもぜんぜん見えない作品ですが、印象だと売れないし、話題にもならない作品って感じ。今の現実の学校の姿とかけ離れてないでしょうか。いや、学生じゃないので詳しくは知りませんが・・・。僕らの前の世代は学校が荒れていたので、そのような内容の作品は受けました。僕らの世代は、その人達が好んだ残りかすのようなものがあり、それをパロディにして喜べました。今の子供達はどうなんでしょう?それを考えて企画したのならいいのですが、もしそうでなければ作者の感性がおっさんで時代にあっていない上、それに気づいていないという事になります。
★特捜戦隊 アーバイト
戦隊物は現在のアニメファンとのフックにはなれないと断言できます。一時期、ご当地戦隊物が話題になったのですが、ご存知ありませんか?素人が立てた企画ですよ。ぶっちゃけ素人レベルのさらにそれ以下の企画でしかないと思います。戦隊物のパロディがやれたのは愛國戦隊大日本まで。これも上のと同じで感性に問題。
★天使のオブジェクト
表現への志は高く非常に良いのですが、実際に表現されている内容が独善過ぎレベルが低いと思います。
まず、テーマが物を大事にするなら、素直に対立軸である物を大事にしないキャラを悪として出しましょう。
主人公の思想が「物を大切に」で敵もまた同じでは、この作品内で表現されている思想があまりにも一方的になります。宮崎駿だって、こんな馬鹿なことはしていません。
対立軸で物語を表現するのは、ありきたりで単純に思えます。しかし、表現自体は簡単な物ではないです。悪を描くには悪の思想および行動を描写しなければなりません。それは時として、自分自身の中にある認めたくない悪と向き合う事になりますし、他人のうざい思想にも多く触れ合うことが重要になります。
そうやって自分自身が悪と思う物に対して、多くの理解を持った人でなければ、その人の正義は誰も聞きません。人の意見をまったく聞かない人はどんなに正しいことを言ってもその場で無視されます。これは断言できます。なぜなら、たいして正しいことが言える人ではないからです。
企画を立てた人は自分の思想に疑問をもってください。人の意見もろくに聞かず、たいした正解も出せないくせに独りよがりな答えだけ押し付けるこの作品は間違いなく悪です。もし悪を表現できないなら、この表現をしようと思ったいきさつ、そのものを表現してもいいかもしれません。
★お部屋でクシュン&ヘクチ
変な友達系の作品は好き。面白そうだけど、もうワンアイディア欲しい。オバQはお化けと友達になり、ハクション大魔王は魔法使いと友達になる。で、この作品だと友達になるのがただ変な奴でしかないので、盛り上がりに欠けてしまう。
正体が謎なことが売りなのでしかたがないのだけど、もう少し謎説きのヒントを視聴者にください。たとえば、何故かシィノとくっついていたがるとか、シィノの家に住みついて怪しい行動をするとか、クシュンとヘクチを食べようとする奴がいるとか、まあ何でもいいんですが。
あと主人公は日本名にしたほうがリアリティがあっていい気がします。リアリティの上に不思議を重ねたほうが好みなので。藤子不二雄的に言うとすこし不思議ぐらいがいいです。
★マカイビョウイン
アイディアは斬新だし、一番面白そうに見える。しかし敵も味方も妖怪変化、ボケっぱなしでツッコミなしって感じ。主人公が荒っぽい治療をするのなら、当然、普通の治療の描写も欲しいのだけど、その普通さをどこにもとめればいいのかわからない。遅いかもしれないが、敵は人間の病院にしたほうがいいのでは。キャラデは良。原田たけひとさんみたい。ディスガイアをやって欲しくもある。

いろいろ書きましたが、ぶっちゃけどの企画でも脚本と演出と作画次第で面白くなるでしょう。ただ今の段階では面白さが見えなかっただけだと思います。
もちろんアニメに関してまったく知らない素人の意見です。プロの人が見るとまったく違うのかもしれません。まあ金をだす人はたいていみんな素人ですが。