PS2版Fateクリア。

フェイト/ステイナイト[レアルタ・ヌア] extra edition

フェイト/ステイナイト[レアルタ・ヌア] extra edition

PS2Fateクリアしてしまった。
正直プレイする前は、PC版をプレイしていたので、ファンだからグッズの一つとして買ったけど、クリアはしないだろうと思ってました。Fateって長い話だしオチも知っているしで、途中で飽きちゃうなと思ってたんですよ。でも実際プレイしてみるとそんなことなかったです。内容をいい感じで忘れていて全然飽きずにプレイしました。もうクライマックスなんか泣いちゃいましたよ。知ってる話なのに!!
そいでラストの話なんだけど、今回追加されたラストエピソードがとても良かったです。シナリオ自体は短くてホントにおまけって感じなのですが、Fateという作品のラストを飾るにふさわしい素晴らしい内容でした。
セイバーとの出会いで始まった物語がセイバーとの出会いで終わる。
作中で将来の挫折を示唆されている主人公「衛宮士郎」、その挫折の先にセイバーがいてくれて良かった。凛や桜もいるけど、彼女達は士郎を救うことはできると思うけど、彼を理解して抱きしめてくれる人じゃない。彼を理解できるのは彼と同じゆがみを持ったセイバーだけだと思う。その二人が最後に挫折を乗り越えめぐり会う・・・。う〜ん、見事な大団円だなあと感涙。
それでは、内容に関する感想。
まず、始めに思ったことなんだけど、
主人公が悩みすぎじゃね。
まあ、あまりに悩まないというのも作品が軽くなって嫌だが、ちょっと悩みすぎ、物語のほとんどが悩んでるようなそんな印象。暗いよ、衛宮くん。
なんかエヴァンゲリオン以降なんだけど、主人公を安易に悩ませすぎじゃね?
エヴァは元々哲学が流行っているのを見て、哲学的な内容のアニメを作ろうという企画だったそうじゃん。ロボットとかキャラはむしろ後付けって感じで。それだったら主人公が悩むというのはよくわかる。
けどさ、エヴァ以降の作品って何も考えずエヴァの猿真似で悩んじゃってる気がするんだよな。登場人物は悩んでいるけど、作り手は全然悩んでないような印象。だって悩みに生々しさがまったくないんだもん。悩んでるフリしてるだけじゃねえのって考えちゃうよ。悩むならとことん悩む、悩まないんなら、すぱっと悩まない。そういうの作品のほうがカッコイイと思うよ。
次なんだけど、もの凄い王道の話だなあって思った。
なにしろヒーローがバーンと世界を救ってしまうって話だからね、基本は。
これに関しては素直にすごいと思った。案外こういう話をうまく書ける人っていない。たいていはどっかに矛盾があったりスケールが小さくなったりしちゃう。酷いのになると作者がかしこぶって「個人レベルの行動が少数の行動が全世界の命運を動かすのはおかしい」なんていいだしちゃったりね。リアリティを追求することで面白さを出す作品とかいうならわかるけど、素手で岩を破壊したり、刀で近代兵器に立ち向かうようなハッタリはかませすくせに、ラストでいきなりそんな賢いことを言うマンガとかあったな。阿呆かって思ったよ。
ハッタリは嘘って事だけど、騙される側としてはしょうもないちんけな嘘より、バーンと世界を救うようなとんでもない嘘を信じさせて欲しいって思う。エンターテーメントとはこういうもんだと思う。
Fateって作品は、何でも願いをかなえる聖杯というハッタリ一つから、ものすごくスケールのでかい嘘世界を作り出して僕らを騙してくれた。その手腕はもっと評価されてもいいと思う。
ついでに書くけど、個人レベルの行動が少数の行動が全世界の命運を動かす話というのは特異であるという論調は何とかならんのかね。もともとと物語なんてのはそういうもんじゃね?そうじゃない作品のほうがよっぽど特異だとおもうけどなあ。物語のルーツである神話・神謡の世界なんかそんな話ばかりだよね。個人が世界を動かす究極のキャラとして「神」なんて存在がいたりしてね。
物語が人間の感情移入能力を利用した遊びである以上、人間が感情移入できない組織や集団なんて物語で表現なんかできない。もし表現しようとするならば、集団を個人同士の物語に変換するという無茶をやる必要がある。集団を描こうとした作品にガンダムがあるけど、ガンダムでは組織のボスが突然自分の仕事を放棄してモビルスーツで出撃をし、主人公とタイマン勝負をするという無茶をする。こっちのほうがよっぽど特異だと思うぞ。トミノはすごいのだ。
話は元に戻って、ラストに思ったことなんだけど、ヴァーチャル家族物だなあと思った。ヴァーチャル家族物というのは、物語でよくある「本来の家族ではなく気の会う友達同士で家族を構成するような話」のことを僕はこう呼んでいる。なんか他にいい言葉があるのかもしれないけど、無学なので知らない。ごめん。
Fateという作品にはある特徴がある。それは登場人物のほとんどが家族が崩壊した人間だというところだ。その特徴は特異ではあるが異常ではない。それどころか、その姿は現代を生きる僕らに通じる。
現代は古きよき時代の家族像が崩壊した時代である。かつてのように家族が同じ食卓で一緒にご飯を食べ、同じテレビ番組を見ていたような時代はすっかり過去の物となった。TVは一人に一台以上、食事は個食が多くなっている。家族の間には血縁こそあるが家族を結びつける共通の記憶は昔と比べるとどんどん少なくなってきているのが今の日本の家族の姿だ。
Fateという作品は「家族が崩壊した人間同士がヴァーチャルな家族を作り出し救済を得る」という話である。ヴァーチャルな家族で暮らし、同じ食卓で一緒に食事を楽しむ彼らの姿に僕らは新しい時代の理想の家族像を見ているのだろうか。
それにしてもヒット作品ってヴァーチャル家族が多いよね。エヴァとか天地無用とかさ。なんというか永遠の修学旅行みたいな感じの作品。大ヒットを狙うならこれだねって感じなんだな。
んで、まとめなんだけど、こうして考えてみるとFateは売れるべくして売れた作品なんだなあと改めて思う。王道のストーリーにヴァーチャル家族物という売れ筋をきちんと押さえてるんだもん。売れないはずがないよね。いやあ本当に面白かったもんな。うだうだ書いたけど、結局はこの一言にまとまってしまう。次回のTypeーMoonの作品が楽しみで仕方がないよ。でるのはもっと先なんだろうけど。

ちなみに、Fateで僕が好きなキャラは藤ねえです。時点はマキジ。一緒にいると楽しそうでしょ、この二人。
Fateの2+1大ヒロインに関してはまったくと言っていいほど、萌えませんがな。一緒にいるとウザそうでしょ、この2+1人。